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暮しの記憶~クラシノキオク~

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2009年 06月 09日

ぐるりのこと

日本の映画って年に2~3本見るか見ないかってぐらいなのだけれど、
前作の『ハッシュ!』がとてもよかった橋口亮輔監督の『ぐるりのこと』。
主演のリリー・フランキーも好きなので、前から気になっていた。

週末からまた例のごとく子供が熱を出して休んでいるので、
寝ている間を見計らって、気になるそのDVDを鑑賞。
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翔子のお腹に子供が宿り、ちょっと頼りないカナオが夫となり二人の結婚生活が始まる。
けれどその子供を亡くすことになり、翔子はしだいに精神のバランスを崩しうつになっていく。
そんな夫婦の10年間の生活と、社会で起きた凶悪事件を織り交ぜながら話は進んでいく。

「絶対に別れない夫婦の物語。希望とは人と人とのつながりの中にしか生まれない。
そういう映画を作ろうと思いました。」という監督の言葉どおり、見終わったあとには
温かい余韻が残る。

夫婦とは相手の孤独をまるごと飲み込むようなもの・・・というようなことをここに書いたことがあると思うけど、
この映画を観ても、そうなのかもしれないなぁと思った。

精神のバランスを崩していく妻に対して、カナオは決してオロオロしたり「どうしたの?どうしたの?」と
必要以上に問いかけたりはしない。
でも、いつも斜め後ろから静かにそっと全てを見ていて受け止めていてくれる、そんな感じなのだ。

翔子が自分の感情を爆発させて、泣きわめいたときも、
全てをきちんと聞いた上で受け止めて、暴れ馬を飼いならすみたいに、気持ちを落ち着かせ
安らかになる方向へ導いていくカナオ。
「ちゃんとできなくてもいいから、ただそばにいて欲しい。好きだからただそばにいてくれるだけでいい。」

そんなふうに言える男性って世の中にそうはいないと思う。
だからこうして映画の題材になるわけなのだろうけれど。

「だったら、俺にどうして欲しいわけ?ちゃんと言ってくれなくちゃわからないよ。」
なーんて、つらい気持ちでいる女性に追い討ちをかけるように、
さらにがっかりさせるような台詞を言ってしまうトンチンカンも多数いると思うのだが・・・

こんなふうに、当たり前の毎日を静かに優しく過ごせたらどんなにいいだろう。
凶悪事件の裁判と対比させたことにより、二人の当たり前の日常がとてもいとおしく
描き出されていて、またカナオの仕事場の人たちのキャラクターもステキで面白く
とてもいい映画だった。オススメです!
ぐるりのこと_f0156303_15443237.jpg


by anemonexs | 2009-06-09 15:46 | 本・映画・音楽


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