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暮しの記憶~クラシノキオク~

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2008年 04月 24日

善き人のためのソナタ

この映画は、ベルリンの壁が崩壊する5年ほど前の東ドイツでの話。

ナチス時代のゲシュタポ並みに人々の動向を監視するシュタージ。
そのシュタージでエリートと言われる立場にある、一人の男は、
無機質な部屋に一人で住み、表情は常に固い。

そんな男がある劇作家と女優が住むアパートの部屋を24時間盗聴し、
監視する任務についた。

忠実なエリートのシュタージだった男は、盗聴によって聴いた
「善き人のためのソナタ」という曲や人々の会話、
劇作家と女優の愛などに触れるうちに少しずつ心を動かされていく・・・
という話。

密告したり、されたりして、自由に好きなことを会話もできない。
誰が敵で、誰が味方かわからない・・・そんな世の中が現実にあったのだ。
この男を演じたウルリッヒ・ミューエは、東ドイツ時代に
実際に自分の妻に長年にわたり密告されていたという過去をもつらしい。

でもそんな中でも愛と芸術にふれたことによって、心を動かされていく男の様子が
とても巧く描かれていると思った。
そして、これは政治的な意味合いだけのドラマという堅苦しいものではなく、
もっともっと深いなにかを感じとれる心に残る映画だった。
善き人のためのソナタ_f0156303_20573468.jpg


by anemonexs | 2008-04-24 21:06 | 本・映画・音楽


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